手の平よりも大きなねずみ、手の平と同じ大きさのホールド。すり抜けて、どこかへ行ってしまうものたち。
金曜日の夜は華やかだ。
スクランブル交差点には人だかりが交錯する。電光が夜の闇を切り裂き、賑やかな音楽が流れる。人の声、車の音、笑い声。
ビルの隙間に隠れていた太ったネズミを見つけた。手のひらよりも大きい。
ネズミは、街の光から遠のくように排水溝の間に姿を消す。人間の大きさでは、ビルの隙間にさえ入ることはできない。
金曜日、セントラルスポーツへ行き、ボルダリングウォールで2時間半登る。
セントラルスポーツで知り合った人と課題を二つ作る。4級から5級くらいだろう。一人で黙々と登ることが多いが、誰かと一緒に課題を作るのも楽しい。
妻が土曜日に髪を切りに行くことになった。
池尻大橋の美容院に行く。妻が髪を切る間、長男と次男とを連れて世田谷公園で遊んだ。
公園へ行く途中、お昼ご飯にスパゲッティとサラダを買う。
ベビーカーに乗った次男が眠りにつく。寝た隙を狙い、買ってきたご飯を世田谷公園で食べる。噴水の前の芝生の上。
風の強い日だった。急に吹いた風に次男の乗ったベビーカーが動いた。次男の方は視線が向いたその刹那、サラダが風に煽られてひっくり返った。まだ半分も食べてなかった。
サラダのこぼれた場所に鳩が群れてくる。鳩は、あっという間にこぼれたサラダを食い尽くした。
長男は雲梯をしたい、と言う。目覚めた次男を歩かせながら、雲梯のある場所へ向かう。
何度か雲梯をした後、滑り台、ブランコ、鉄棒木登りをして遊ぶ。
13時くらいにおやつを食べる。
プレパークのアスレチックで遊ぶ長男は、屋根に登り、降りられなくなっていた。なんとか降りた時には、泣きべそをかいていた。
工作道具を使い、船を作る。ノコギリで太い木を切る。
会社から連絡があり、納品ミスが見つかる。長男が作った船をじっくり見る時間もなく、電話をしていた。
短い髪にした妻が戻ってくる。次男にご飯を食べさせる。会社のトラブルはまだ解決しないが、家に帰ることにする。
田園都市線に乗り、二子玉川で妻と息子を残して降りる。新橋のお店に働く予定だったので、携帯電話を取り出し、少し遅れる旨を伝えようとする。ポケットやカバンを探すも、携帯電話へみつからない。
次に来る急行電車に乗り、鷺沼で妻と息子に合流する。私の顔を見つけると二人はニヤニヤと笑い顔を浮かべ、携帯電話を手渡した。
新橋に着く。ファミリーマートでコーヒーを買い、仕事のトラブル処理をする。
ひと段落したところで、友人の店へ向かう。
家に帰る頃、電車に乗る人のほとんどは酔っ払いだった。男の子も女の子も互いに互いの体に触れ合い、いやらしくないでしょ、と確認しあつっていた。どうだっていい。
彼らの光景を見ながら、もういっそ、お互いが裸になってくれたらいいと思う。綺麗な女の子の裸が見れたら、それだけで今日一日がラッキーだったと思うだろう。
男なんて単純でくだらない。
互いに牽制し合う男女を見ながら、目の疲れを感じている。くだらないのは男だけだろうか。なんて、思いながら目頭を指で強く押す。目の奥の痛みがはっきりと意識できる。
長男の同級生の親子と一緒にボルダリングへ行く。まずまずよくできた。
2級2本、3級を2本落とす。
息子は6級1本と5級1本を落とした。
家に帰るとカレーだった。カレーは美味しい。三杯おかわりをした。少しずつお腹が満たされ、食べ終わるのが悲しい。